映画・あらすじ感想レビュー

ネタバレ注意!! 映画『響 HIBIKI 』レビュー 欅坂46・平手友梨奈の演技力あるなしを論じるのはナンセンス

投稿日:2018/09/21(金) 更新日:

(映画『響 -HIBIKI-』公式サイトより)


小説家ワナビ・鳴瀬さんの批評コーナー
小説家を目指すアラサー・ワナビの鳴瀬さんが、映画やドラマ、小説を批評する不定期連載。今回は、欅坂46平手友梨奈が初出演にして初主演を飾った映画『響 -HIBIKI-』を偉そうに論じるぞ!

マスター
これは鳴瀬さん、珍しく顔を見せてくださいましたね

小説家ワナビの鳴瀬さん
映画『響 -HIBIKI-』を見てきた帰りで、マスターに感想を伝えようと思ってね

ミーハーたまみ
私も見たよ。平手友梨奈ちゃんが初主演だもん。見逃すわけにはいかないよ

芸能通の小島さん
マンガ大賞2017』で大賞を受賞した人気コミック『響 ~小説家になる方法~』が原作なんですよね。平手さんは、主人公の天才文学少女・鮎喰響役を演じていますが、原作者の柳本光晴先生が、「本当に平手さんに響を演じてもらえて大正解でした」と絶賛しています

マスター
なるほど、文学がテーマになっているから、鳴瀬さんのアンテナに引っかかったんですね。どういうストーリーなんですか?

小説家ワナビの鳴瀬さん
まずは響が、『お伽の庭」というタイトルの小説原稿をコンクールに応募したところから映画は始まった。ところがこの賞、webでの募集しかしてなかったんだ。この時点で、響の作品は失格処分となるハズだった

ミーハーたまみ
でもね、それを編集者の花井ふみ(北川景子)ちゃんが拾って、響の才能を発見したの。ふみちゃんは、わざわざ手書き原稿をテキストに打ち直して締め切りに間に合わせた

芸能通の小島さん
けれど、応募原稿には住所が書いてなかったんですよね。だから、「受賞したらどうしよう?」ということになったんですよ

小説家ワナビの鳴瀬さん
で、当の響はというと高校に入学。部活に籍を置かなければいけない規則があるため、幼馴染の椿涼太郎(板垣瑞生)とともに文芸部へ入部することにしたんだ。ところが、そこは不良のたまり場。入部お断りといわれ、それに耳を貸さない響は、強面の先輩・塩崎隆也に胸倉をつかまれ「殺すぞ」と凄まれてしまう

ミーハーたまみ
この言葉を、響ちゃんは真に受けちゃったんだよね。だから、”やられる前にやる”の理論で、胸倉をつかむ塩崎の指をへし折ったの

(やられる前にやる! 映画『響 -HIBIKI-』公式サイトより)

マスター
えっ・・・

小説家ワナビの鳴瀬さん
あ、先にいっておくが響は、天才であるがゆえに時に一般常識が通じず、エキセントリックな行動を起こすキャラクターだ

ミーハーたまみ
そうそう。このすぐ後に出てきた、本棚のシーンもおもしろかったよね

マスター
本棚のシーン?

芸能通の小島さん
文芸部の部長・祖父江凛夏(アヤカ・ウィルソン)は、部室に置いてある2つの本棚をそれぞれ、おもしろい本とつまらない本にわけて保管するように使っているんですよ。その分類は響ちゃんも納得いくものだったんです

小説家ワナビの鳴瀬さん
ただ、1冊だけ評価が違う本があった。それを響が勝手に移動させたため、響と凛夏の間で、その本を移しては戻し、移しては戻しという子供じみた争いが始まるんだ。で、業を煮やした凛夏が、響の手の届かない棚の上に本を置くよう、涼太郎に命じた。さて、その後、響は何をしたと思う?

マスター
えっと、本棚をよじ登ったとかでしょうか?

ミーハーたまみ
ブー。正解は、本棚を倒したんだよ

マスター
それは、なかなかにハードな性格なようで

小説家ワナビの鳴瀬さん
ただ、凛夏との出会いが、響とふみを引き合わせることになるんだ

マスター
といいますと?

ミーハーたまみ
凛夏ちゃんのお父さんの祖父江秋人(吉田栄作)はね、新作を発表すればたちまち数百万部売れちゃうような大作家なの

芸能通の小島さん
劇中では、熱心なファンのことを”祖父江スト”と呼んでましたよね。イメージとしては、村上春樹さんのような売れっ子作家ですね

マスター
なるほど、村上さんのファンは”ハルキスト”と呼ばれてますね

小説家ワナビの鳴瀬さん
で、ふみが祖父江からコラム用の原稿を受け取りに行った時、ばったり出くわしたのが、凛夏のもとに遊びに来てた響だったんだ

マスター
運命的な出会いですね

小説家ワナビの鳴瀬さん
そう。そして、運命の歯車が噛み合ってからの展開は猛スピードだった。小説コンクールで田中康平(柳楽優弥)と新人賞をW受賞。そのままの勢いで、なんと芥川賞直木賞にWノミネートしてしまうんだ

マスター
それは凄い。けれど、芥川賞は純文学、直木賞は大衆小説が対象なのでは?

小説家ワナビの鳴瀬さん
しかし、その境界は曖昧だ。実際、柴田錬三郎が1951年とその翌年に2度、北川荘平が1958年に同時候補になるなど、過去に数人の前例がある

芸能通の小島さん
けれど、W受賞の前例はありませんよね。ちなみに、さっき名前が挙がった村上春樹さんも新人時代に2度、芥川賞にノミネートされましたけど、受賞には至りませんでした。どちらか片方だけでも、受賞するのは困難なんです

ミーハーたまみ
でも、響ちゃんは同時受賞しちゃうんだよね。だけど、ここまでの間にもトラブル続きでおもしろかった

マスター
ハチャメチャな行動を起こしたんですか?

ミーハーたまみ
うん。たとえば、”祖父江2世”として大々的にデビューすることになった凛夏にネチネチと絡んだ、元売れっ子作家の鬼島仁(北村有起哉)にハイキックを食らわせたり、『お伽の庭」を読んでもないのにバカにされたからって、新人賞の授賞式中に田中をパイプ椅子で殴ったり

マスター
なんかもう、プロレスラーの場外乱闘みたいですね

小説家ワナビの鳴瀬さん
で、田中への暴行事件が、芥川賞直木賞のWノミネート時に明るみになって大騒ぎになったりもした。これにいちいち振り回されるふみが気の毒で仕方ない

芸能通の小島さん
そんな経緯があったため、W受賞の会見式では、フードをかぶって顔を隠し、マスコミからの質疑応答はふみが代弁する措置が取られたんですけどね。そこでも結局、”小説を書いたのは15歳の響じゃなくてふみなのでは?”と疑ってかかった週刊誌記者の矢野浩明(野間口徹)に対してドロップキックしてしまったんですよね

マスター
それで、どうなったんですか?

小説家ワナビの鳴瀬さん
会見場から逃亡した響は、電車の踏切の前で佇む山本春平(小栗旬)という男を発見するんだ。この山本、実は芥川賞に4度目のノミネートをしたものの、響にかっさらわれ、それを苦にして自殺するところだった。その空気を察した響はレール上に佇み、”傑作の1つでも書いてから死ね”という太宰治の言葉を引用。そして、「私はまだ傑作を書いてない」と言い放ったんだ

(山本春平役の小栗旬・映画『響 -HIBIKI-』公式サイトより)

ミーハーたまみ
そこに電車が来て、響ちゃんのギリギリ手前で停車したんだよね

芸能通の小島さん
なんだか、”傑作を書くために神様に生かされた”ような、響ちゃんの天才性を示す象徴的なシーンでしたよね。鉄道会社から賠償金を請求されるオチがついてしまいましたけど

ミーハーたまみ
だけど、『お伽の国」の単行本化が決定して、初版100万部、1億円以上の印税が入ってくることになったんだよね

小説家ワナビの鳴瀬さん
そこで幕が閉じたから、恐らく続編も制作されるんだろうな

マスター
なるほど。文学がテーマということで、もっと静かな作品を予想してましたが、まったく違いましたね。それで、鳴瀬さんの感想は?

小説家ワナビの鳴瀬さん
まず、響を演じた平手友梨奈についていえば、演技力うんぬんを論じるのはナンセンスだと思う。演じるというよりも、響そのものになりきっていたからだ。たとえば、続篇やドラマ化されるとして、別の女優がこの役を演じることになったら、気の毒に思う。すでに平手のイメージがついて、比較されるのがオチだからな。逆に平手は、比較対象ができることで、アンチを黙らせることになるかもしれない。「やっぱり、彼女の方が良かった」ということで
ミーハーたまみ
私は、欅坂46の『エキセントリック」って曲のMVの時の平手ちゃんを見てる感じがしたなぁ

芸能通の小島さん
歌詞の世界観にも通じるものがありましたよね。実際、「普通でいることって何だ? みんなこそ変わり者と思ってる」という歌詞に似たようなセリフが何度か出てきましたし

小説家ワナビの鳴瀬さん
響は子供のように素直な感性で外界の事象を捉え、それを率直に表現する。小説では天才的だと持ち上げられるが、一般社会では危険人物だ。ただ、その極端なギャップに戸惑わないところが、響に独特の魅力を与えている。その差異に悩むとしたら、俗世間的な部分がまだあるというわけだ。しかし、響にはそれがない。自己肯定力が半端ないんだ

ミーハーたまみ
でも、たまにかわいらしいところを見せるよね。凛夏ちゃんと仲直りするために動物園に行ったシーンなんて、完全に素の平手ちゃんみたいだったもん

マスター
ん、凛夏さんとケンカしたんですか?

小説家ワナビの鳴瀬さん
ああ、そうそう。まあ、要するに響の才能に凛夏が嫉妬したわけだ。ところが、そんなことに気付かない響は、良かれと思って凛夏のデビュー作を批評した

芸能通の小島さん
そこからケンカになって、ビンタの応酬になったんですよね。そこで凛夏の方から、芥川賞のノミネート作品が発表される1カ月後まで絶交を言い渡したんですけど、響はその当日きっかり凛夏のもとを訪れて、途中で終わった批評の続きを始めるんですよ

小説家ワナビの鳴瀬さん
そんなところが、一般常識的に”空気が読めない”部分だが、ふみからの助言を鵜呑みにしたことを言い訳にしようとした凛夏に対して、「それは凛夏の責任」と突き放したのは印象的だったな。編集者に何をいわれようとも、最終的に決定権をもつのは作者自身。響は表現者としての覚悟をもっているんだ。このあたり、妙に大人びたところも、彼女の魅力になっている

ミーハーたまみ
凛夏役のアヤカ・ウィルソンちゃんも良かったよね。お人形さんのようにかわいくて、登場するとスクリーンがパッと華やいだ

アヤカ・ウィルソン(映画『響-HIBIKI-』公式サイトより)

小説家ワナビの鳴瀬さん
それと、文才に自惚れ、周囲の人々を見下す態度をとる田中役の柳楽優弥や、文学に心血を注ぐ山本役を息苦しいほどの重厚さで演じた小栗旬も、存在感を発揮していた。続編が楽しみだ。じゃあな、マスター。またくる

ミーハーたまみ
・・・急に帰っちゃうんだね

マスター
でも、楽しそうな映画ですね。今度の休みにでも見に行ってみようと思います

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